12月になった。

今月は誕生日のネェさんが3人いる。


そして、

ボーナスに、

クリスマスに、

忘年会の二次会。


この超超超忙しいこの時期に、

サっつんが辞めた。

正式に言うと

「引き抜かれた」



コロす・・・


「名古屋のほうの店らしいで」

「アああ!?そう!?」

「こわいなぁ・・・ちゃんとヘルプつけるし、怒らんでよ」

「なんで、しずくがそんなこと気にするうううう!?アタシは!ちゃんと!仕事!するもん!」

「怖い怖い!中華料理みたいにせんといて〜」


私は薫ちゃんに向き直った。

「薫ちゃん?薫ちゃんもそんな大人になるの!?」

「え、いいえ。なりませんっ」

「薫を脅すな」

「薫ちゃん、私いままでサっつんに気を使ってたけど、これから本気出して教えるからね!」

「は、はい!」

「フォロミー!」

「い、いえーすっ!」

「のったらアカン、この人処刑されるで」


ムカムカする。ムカムカする。ムカムカする!


今の気持ちに不釣り合いなクリスマスソングが、フロアーから流れてきた。

唐突に、前オーナーの声が聴こえてきた。

ー世の中イヤなことばっかりや。お客様にはキレイなもん見せてあげよなー


ゆっくりと息を吐いた。

「3日」

と決めた。

「みっか・・・?」

「3日で商品になるものを作らせる!」


ゴウがため息をついた。

「アーメン・・・」