「海ぃ!良かったなぁ!」

ゴウの声で我に返った。

「よよよよよよよよよッッッッッッ良かったの・・・?」


振り返ると、グラコロねぇさんの同族さんたちも、すごい顔になって涙をぬぐっていた。

「ママ、化粧直す?」

「うちらも直さな」

「アンタ、水から出たてのガタロウやんか」

「ウルサイワッ」

「明日、久々に鳥羽いこ。グラ見とったら、異様にトドが見たなったわ」


ゴウが指示を出して、みんなが持ち場に戻る。

私も涙を拭き吹き、キッチンに戻った。


何だか分かんないけど、まぁいいや・・・。

イイってことにしよ・・・。

ゴウがそう言ったんだから・・・。


お客さんの一人が言った。

「あの子は女の子やんなぁ?」

それは数少ない、フツーのオッチャンだった。

ヨーママが答えた。

「あれは、『しんせい』女子やな」

「『しんせい』てなんやねん」

「うちらが『仮性』女子」

「真性か!あははは」


キッチンで、改めてフルーツ盛りを作りながら、

嬉しさがふつふつと込み上げてきた。

ここから、ネェサンたちが幸せになるのを願ってる。

私にはそれが合っている。


そんな風にして、祭りの夜は更けていった。