しのぶネェさんが本当に挙式した。
結局、ガーデンウェディングのできる結婚式場を借りて。
会場は異様な光景になっている。
結婚式というより、
サーカス?猛獣ショー?
「フーセンの次はハト、ハトの前は駄菓子!どんだけ飛ばしたら気が済むねん!種子島宇宙センターか!」
さんざん反対したグラコロネェさんも、呆れつつ楽しそうだ。
会場の飾りつけ、よーく見とかないと。
何かの参考になるかもしれないし。
必死で写真を撮る私の後ろで、ネェさんたちの声がする。
「入籍は、してない・・・ちゃうんかな。知らんけんど。できひんやろ」
「ここのお金、どうしはったんやろ?」
「自分の貯金ちゃう?」
ゲン様の身内、一人も来てないっぽいもんな。
たぶん、しのぶネェさんの家族も来ていない。
オーナーは、もう体調が悪化してお店に来ることもなくなり、祝辞とお花が届いていた。
それでも二人が腕を組んで、出てきたときは感動でいっぱいになった。
グラコロネェさんもゴウも盛大に泣いた。
キレイ・・・!
本当に本当にキレイ・・・!
いつものネェさんの何十倍もキレイだ。
夜の化粧では隠れてる、
しのぶネェさんのピュアな雰囲気が光り輝いて見えた。
本当は、夜よりも昼が似合う人だったんだ。
それが、思ってたんとチガウ性別に生まれて、夜生きていくほかない。
もし女の子に生まれてたら・・・
分らない。
しのぶネェさんは、しのぶネェさんだから。
今はただ、
手が痛くなるほど拍手するだけだ。