「オトンは一向にあかんかったな」

「ホンマやね。金継ぎした湯呑み、レンジにかけてしまうんやもん」

「考えたらわかるやろ」

「なんも考えてはらしまへん。興味ないんよ」


和気あいあいと話す様子は、ムスコと母親じゃない。

どう見てもムスメと母親だ。



そこに私がいる。

変な感じ。



「海ちゃん、病院いかんでええの?」


急に私に話題が振られた。


「ああ、病院……行った方がいいですかね?」

「一応な、通うだけ通うてもええと思うねんけどな。オバチャン調べたんやけど、脳外科なんか心療内科なんか、ようわからん」



これが微妙で。

ゴウの伯父さんが言うには、

「別に日常生活が送れてるんなら、別になぁ。まあ行って悪いことないけどぉ」

という返答だったらしい。



「せやけど、アンタ。たまにボーッとしてるときあるやん」

「アンタて口悪い」


お母さんが見とがめる。


「しゃーないねんもん。大阪で働いとったら」


いひひ。

ヒトには千葉弁キタナイとか言っといて、

自分も怒られてやんの!


「笑うてる場合ちゃうで。火事のこともなんも覚えてへんて、心配になるよ」



火事ねぇ………


かじ…



「ホラ、これや。この顔!」

「は?」

「ボケ老人の顔や!」


ボ、ボケろうじん………!?


「せやったら、もの忘れ外来なんかなぁ?」


こんな感じで、私の通院問題は決着がつかないのだった。