あいたっ!

枝が腕に刺さった。
でも声は出せない。

手探りで、次の枝を探る。


暗くてよく見えない。

上着も邪魔くさい。


これかな?

こ、こ、これ・・・・を


と、次の枝を掴んだ瞬間だった。

枝から足が滑り落ちた。

「ひゃあ………っっ」

そのまま、すごい勢いで地面まで落ちていく。

「ひ・・・・・・った~い」



生きてる。

生きてるけどさ………

いっっっったぁぁぁぁ。


そんなことより・・・・!

二階を見上げる。

何も変わらず、テレビの音が漏れているだけ。


気づかれなかったみたい。


バカみたいに地べたに寝転んでいる自分に気が付いて、そろそろと腰を上げた。



――おこっちたってたいへ~ん――

――もう落っこちないよ。俺が見張ってるから――


「落っこちました・・・」


独り言を言いながら、とぼとぼと山道を降りて行った。