スマホをポケットに戻し、動かない屍を見た。 服は赤黒く染まり、片方の腕は変な方向に曲がっている。 そして目立つのが──、 深い傷跡のある、首元。 鋭い刃で抉られたような跡が、縦長に伸びている。 コレをやったのは、紛れもないボクだ。 抵抗なんかない、ただ無心に殺って終わり。 毎回、同じ事を繰り返すだけのつまらない事。 ───本当、つまらない。 月明かりの下、ボクは狭い路地裏を後にした。