土方さんの肯定の返事を聞くと
近藤さんは人懐っこい笑みを浮かべる。


「あぁ!!それがいいだろう。
伊織くんにとっても
今は怪我の回復に専念すべきだろうしね。
あとで山崎君に診察をお願いしよう。」


(嬉しい申し出だけど…
多分この人達は『男の』私に対して
勧誘しているんだろうなぁ)


はじめからどことなく感じていた
彼らの勘違いを伊織は気づいていた。


「お気遣いありがとうございます。
しかしその心配には及びません。
自身の現状は把握していますので。」


診察なんか受けた暁には
絶対に女であることがバレるだろう。
 

(今後のことを考えると
まだバレない方が良いだろな。)



(それに………
それに……一刻でも早く…
あの場所に……)


「それに、回復力にも自信があります。
この程度の怪我ならあと一週間程
時間をいただけたら完治するかと。」


(これで引き下がってくれないかなぁ)