(なんだか佐介さんみたいだ。)

ふとそう思った瞬間
またあの夜を思い出す。


ふつふつとまた、
あの感情が湧いてくる。


「……伊織くん
起きたばかりですいません。
君が起きたら報告しろと
近藤さんから言われているんですが……」


すると
優しそうな面立ちの男が
私に少し困ったように言った。

きっと私は
この人が戸惑うほど
殺気だっていたのだろう。


「分かりました。今支度します。」


投げ棄てるように
感情を無にしてそう告げた。