「……ほぉー。 なかなかやるな、お前。」 何故か感心するような声を上げた男は 頬を伝う血を親指で拭うようになぞると 親指に付いた紅い血を舐めた。 そんな男を無視し私は 四撃、五撃と刀を振り下ろし続ける。 ーーーカキンッカキンッ 鉄同士が激しくぶつかり合い、 暗闇に微かな火花を生む。 感情のままに振るった刀が体力を奪い、 薄く肩で息をしだした私を他所に 遊び道具を見つけた子供のように 嬉々とした表情を浮かべる男。