それから、2・3回同じ事を続けて、4回目。
「あ、あ、あ・・・」
「よし」
アームは上手い具合にぬいぐるみを転がし、とうとう穴の中にゴトンと落ちた。
受け取り口からぬいぐるみを取り出して、転校生に渡す。
「や、やったー!」
目をキラキラさせてぬいぐるみを受け取った彼女は、ぎゅーっと抱きしめてほおずりとした。
「ありがとう!」
「どういたしまして」
思ったよりは早くとれて良かった。
そして、転校生が嬉しそうだから尚良かった。
「わーい!うれしいっ」
転校生は、ぬいぐるみの腕の部分を持って俺の方に向けた。
「ありがとう、真司君」
猫に真似たのか声を変えて腹話術のように言ってくる。
「良かったな」
「うん!」
転校生は、ぬいぐるみを大事に抱えて、またUFOキャッチャーを物色し始めた。
俺も適当にUFOキャッチャーをして、おかしを一つと、キーホルダータイプの小さな熊のぬいぐるみを一つ取った。
転校生は、UFOキャッチャーが得意ではないみたいで、結局自分では一つもとれることはなかった。
「はー楽しかった」
それでも、満足した様子で、笑顔が絶えない。
ブルーベリーと景品とで荷物が増えた。
重くなることを全く考えてなかった。
「あ!真司君」
ゲームセンターを出ようとしたら、転校生が足を止めた。