「よーし」


転校生は、財布を出すと100円玉を何枚か取り出した。


「やるのか?」
「うん、ほしいから」


機械にお金を入れて、転校生は真剣な表情でアームを動かしている。
大きなぬいぐるみだから頭の方が重そうだ。
うまく引きずり落とせれば良いが、簡単ではなさそうだ。
アームが大きく口を開けてぬいぐるみの足下を捕らえる。
ゆっくりと持ち上げようとするが、足が上がっただけでまたぬいぐるみは元の場所に戻った。


「あー!全然だぁ・・・」


がくっと転校生は肩を落とした。


「それ、ほしいのか?」
「うん・・・」
「・・・」


物欲しそうに猫のぬいぐるみを見つめている転校生に、俺は自分の財布を出して100円玉を出した。


「ちょっとどいて」
「え?」


転校生に横にずれてもらい、俺はお金を入れた。
アームを動かして合わせる。
落とす穴の方よりに設定して引きずり落とす方法をとってみた。
アームは、ゆっくりと降りてぬいぐるみを挟む。
上に上がるが、良い具合に引っかかって穴の方に一回転して動いた。


「あ!動いたー」
「・・・」


UFOキャッチャーに張り付いてみている転校生を横に俺はまたお金を入れた。
先ほどと同じ要領で挑戦してみる。
意外にこのぬいぐるみには合っていた方法だったみたいだ。