「真司君、半目になってる」
「まじか」
「もう一度ね、はい、チーズ!」


パシャリ。
今度は、ちゃんととれたみたいで、転校生は満足そうだった。


「半目のやつ、消してよ」
「えー?なんで、面白いからそのままにしとくよ」
「・・・まじか」
「まじだ」


ケラケラ笑いながら、転校生はそのままブルーベリーの木の側に行き、成っている実とかを取り始めた。
俺も、自分のスマホを取り出して、せっかくだからブルーベリーの木とか、全体の写真とか、かごの中のブルーベリーとか撮り始めた。
合間合間で実を食べて、思ったよりもたくさんの実を食べてお腹は満たされてきていた。
水分ばっかりだからきっと後でトイレに行きたくなるだろうな、と思いながら俺は、ふと先を歩く転校生の背中を見てみた。
細い、ちょっとしたら折れてしまいそうな背中。
俺は、なんとなくスマホを翳して、パシャリとその後ろ姿を撮ってしまっていた。
写り具合とか確認することなく、スマホはポケットに入れる。


「あ、そろそろ90分になっちゃう?」
「何時に入った?」
「えっと・・・12時前だったから・・・あ、まだ20分くらいあるよ」
「そうか」
「もう一回ぐるって回ってもいい?」


転校生の提案に俺は頷いた。
転校生は、喜んでまた最初の道からブルーベリーの園内を回った。