「これ、甘い」
転校生が食べた実も甘かったみたいで、驚いている。
俺はまた違う実を取ってみた。
それは、少し酸味が強くて、どれが甘くてどれが酸味が強い物なのかの区別をつけてみたく、色々な実を取ってみた。
小さめだが実がふっくらとしているような物は甘いのが多くて、実が大きいやつは酸味が強い・・・と思っていたが逆のもあっていくつか試してみたが全く見分けがつかなかった。
「真司君、これおいしいよ」
「え?うぐ、」
呼ばれて顔を向ければ口にブルーベリーを一粒押し込まれた。
反射的に実を噛めば、甘みが口の中に広がっていく。
「・・・うまい」
「そうでしょう?」
転校生はにっこりと笑う。
「見分け、つくの?」
「んー勘?甘そうーって思った奴は大体甘いよー」
「・・・勘かい」
「うん」
また、転校生は実を取っておいしーと言いながら食べている。
彼女のかごを見てみれば、いつの間に取ったのかブルーベリーがかごの半分ほどもう埋まっていた。
「そんなにもう取ったの」
「ふふっ、楽しくってね」
楽しんでいるなら、よかった。
俺は安心した。
何も言わずにこんなところに連れてこられて怒っていなくて良かった。