「私、真司君の連絡先、知らなかった・・・!!!」


「ーーーーーーは?」


「携帯!番号、アドレス・・・教えて貰っていないことに気づいたの!」


もう一度言って良いだろうか。


「ーーーは?」
「アドレス~」

嘆いている転校生に俺は呆れてしまった。
そんなどうでもいいことでこの女は俺を針のむしろにしようとしているのだ。
俺は無意識に転校生の顔に手を伸ばしていた。
そして、柔らかそうなマシュマロみたいな頬を摘まんだ。
これくらいの意趣晴らし、誰も怒らないだろう。


「ふぇ?」


転校生は、目を丸くして顔を上げた。
俺に摘ままれて頬が伸びている。
うわ、こんなに柔らかいんだ。まだまだ伸びそうだ。
どこまで伸びるか挑戦してみたかったが、遊んでいる場合じゃなかった。


「アドレスとか、どうでもいいだろ」
「だめふぁよ、こまりゅもにょ」
「何言っているかわかんね」


俺は、笑ってしまった。
手を離してやると、転校生は自分の頬を摩りながら眉を下げた。
しまった、強くしすぎてしまったか、痛かっただろうか。
しかし、杞憂に終わった。


「真司君の笑顔を見れたのは嬉しかったけど、連絡先知らないと色々と大変なの!ということで、教えて!」


転校生は、自分のスマホを取り出してきた。


「教えてって・・・」
「あ、電話番号でもいいし、メッセージアプリのIDでもいいよ」


もう、彼女の中では教えることは確定してしまっているようだ。