学校に行けば、お互いの時間を過ごす。
転校生は、たくさんの友人に囲まれて、俺は自分の席で授業が始まるのを待つ。


しかし、今日は少し違った。


「えーー!!!」


教室の中で、響き渡り叫び声に、クラスメイトは何事かとざわめく。
声の主は、転校生の物で俺も何事かとは思ったが、そちらに目を向けることはなかった。
それよりも、今日の授業のことが気になっていた。
宿題はしてきたが、当てられたらどうしよう、とか間違っていないかとかテストではないのにソワソワしてしまう。
しかし、そんなことも次の瞬間に吹き飛んでいってしまった。


「ーーー真司君!!!」


嫌な、予感がした。
恐る恐る視線を向けると、焦ったような転校生が俺の名前を呼んでこっちにやってきた。
俺は、心の中で愕然とした。
周りのクラスメイトは、転校生が俺の名前を呼んでいることに驚いている様子だ。
名字だったら、きっと何も思わなかっただろう。
でも、彼女は名前の方を呼んでしまったのだ。
あーあ、また、なんか言われるようになってしまうのだろうか。
俺は、絶望した。
そんな俺の気持ちなんか気づいているわけもなく、彼女は俺の前に来ると、俺の机に倒れ込んだ。


「真司君、私大変なことに気づいてしまった!」
「・・・・なに」


もう、いいや。
とりあえずこのやりとりを早く終わらせてしまおう。
そう思って俺は転校生の言葉に応えた。