「・・・ちょっと考えさせてくれ・・・」

「真司・・・」

「頭、混乱してるから・・・」


光平は、顔を上げてそして眉を下げた。


「そう・・・だよな。・・ごめん、でも明日には返事くれ・・・」

「分かった・・・」



その後はどうやって家に帰ってきたか分からなかった。
気づけば、自分のベットに横になっていて、もしかして夢だったのか?と思ったけれど、手に持っていた紙が現実だったと知らしめた。


「オーディション・・・か」


ずっと河原で唄ってきた。
俺は、ただ、光平と歌えたらそれで良かった。
好きな曲を弾いて、ギターを奏でて。
それで満足だったが、光平は違った。


「はぁ、」


莉桜菜のこともあるのに、なんでこう一変に悩まなきゃいけないことが次々とやってくるのだろうか。


「返事は、明日、か」


どうしよう。
オーディションって聞いても俺には信じられない気持ちと不安しかなかった。
こんな俺が、光平とオーディションなんか受けて良いものなのだろうか。
自問自答しても、誰も答えを返してはくれない。


俺は、悶々と考えている内に、いつの間にか眠ってしまっていたことに気づくことはなかった。