中身を読んだ俺は、驚いて光平を見た。


「これは・・・?」
「見ての通り、オーディションのお知らせ・・・実は、お前には黙っていたんだけど、レコード会社にデモ、送ってみたんだ・・・そしてら、返信きて・・・」


言葉を選びながら光平は、視線を泳がせている。
オーディション?レコード会社にデモ、送った?
一気に色々な情報が入ってきて頭がパンクしそうだ。


「お前と一緒にここで唄ってきて・・・これから先も一緒に歌い続けたいと思ったんだ。趣味、とかじゃなくて出来れば一生」
「光平・・・」
「それも含めてオリジナルの歌、作った。そしてお前に唄って貰って、やっぱり、って思ったんだ・・・勝手にして悪い」
「いや・・・それは、いいにしても・・・えぇ?」


光平の言葉に、俺はついていけていない。
え?え?と戸惑うばかりだ。


光平は、パンッと両手を合わせると俺に頭を下げてきた。


「頼む!これでダメだったら諦める!俺に、チャンスとくれ!!」

「チャンス・・・」

「お前がいないとダメだ!今、大変だって分かっているけど・・・頼む!!」


俺は、光平を見て、また手に持っている紙を見る。
オーディションのお知らせ・・・2週間後だ。
もうすぐそこにきている。