胸を張ってさぁ、どーんとこい、みたいな雰囲気を出された。


「・・・」


正直、この手の人間は初めてで、どんな風に接したら良いのかさっぱり分からなかった。


「・・・特に、ない」
「えぇ?知りたいことないの?身長とか体重は内緒だけど、スリーサイズとかさー」
「それを俺が知る意味がわかんない」
「そう?んーじゃあ、彼氏いる?とかさ?」
「別に知りたくない」
「ブーつまんない」
「俺はつまんない男だから」


会話を切って俺は前を向いて歩く。
後少ししたら家が見えてくる。
転校生はどこまで歩くんだろう。
手前で曲がるのか?それとも俺の家より先なのだろうか?
今のこの状況から解放されたかった。
そう思っていると、腕を引っ張られた。
下を向けば、転校生が俺の腕を掴んでジッと俺を見上げていた。
笑顔ばかりだと思っていた転校生の表情から笑顔が消えて真面目な表情だ。


「つまんなくない」
「え?」
「真司君はつまんなくないよ」


つまんなくない、と転校生は二回言った。
俺は、転校生が何を思って言っているのか全く理解が出来なかった。
あまり人と関わることをしていないこともあるし、コミュニケーション能力は限りなく低い。
そんな俺に転校生のことがわかるわけなかった。
でも、なんだかそれが、小さな苛立ちに変わった。
俺は、転校生の手を振り払った。
転校生は、振り払われたことに驚いているようだった。