何を言っても通用しないかなと思って俺はまた歩き出した。
転校生は俺の隣を歩くと、色々と質問をしてきた。


「ねぇ、家遠い?」
「・・・」
「ねぇ、ねぇってばー」
「・・・そんな遠くない」


無視しようと思ったけれど、転校生がしつこいので答えることにした。
俺が答えたことが嬉しかったみたいで、矢次のように質問攻めにしてきた。


「ね、血液型何?」
「O型」
「あ、私も!一緒だね。じゃあ、誕生日いつ?」
「2月」
「私は3月だからー私のよりお兄さんだ。何人家族?」
「3人」
「一緒ー」


俺は、まっすぐ前を向いていたが、ちらっと横を見た。
笑顔で話をしている転校生は、俺なんかに話をして何が楽しいのだろうかと思ってしまった。
ふと、転校生が顔を上げて、目が合う。


「ん?何?」
「・・・何で、俺に色々話し掛けてくるんだ?」


すると、今度は転校生はきょとんとした表情になった。
表情が豊かだな、と思った。


「え?真司君と仲良くなりたいからに決まっているじゃん?」
「なんで」
「なんで?仲良くなりたいことに理由は必要なの?」


まるで、俺の言葉が理解できないかのように転校生は首を傾けた。


「理由・・・」
「私は、真司君と仲良くなりたいから色々聞きたいの。知りたいの。仲良くなりたいって気持ちに理由はいらないんだよ」
「・・・」
「というわけで、真司君も私のこと色々聞いて良いんだよ?」