次の日学校に登校してクラスに入ると、一カ所にかなりの人だかりが出来ていた。
俺の席の少し前辺りでそれはあって、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
自分の席に着いてちらっとその塊の方を見てみると、真ん中には転校生がいて、周りをクラスの女子が囲んでいるようだった。
まるで、転校生が中心みたいだ。
談笑を楽しんでいる様子は、とても昨日初めての転校生には思えなかった。
コミュニケーション能力すごいんだなと感心しながら、特に彼女に興味はないので俺は自分のことをした。


今日は、一時間目は英語で、最初に小テストがある。
何が出るかは事前に教えてくれるので、間違わないようにテスト範囲をおさらいする。
スペルや文法のチェック、あとは単語をひたすら暗記する。
教科書の文法のところをわざと赤の蛍光ペンで引いて緑のシートを重ねると蛍光ペンで引いたところが見えなくなる。
このやり方を見つけた人はすごいよなと思いながら俺はひたすら授業に備えた。
没頭していると、ふと俺の目の前に人影を感じ顔を上げた。
そこには、転校生がにこにこした笑みで俺を見下ろしていた。


「真司君、おはよう」
「・・・おはよう」


転校生に挨拶されて、俺も挨拶を返す。
それから、また下を向いて参考書を見ていたけど、目の前の気配が移動しないのでまた、顔を上げる羽目になる。
転校生は、俺を笑顔のまま見ていた。


「・・・何?」
「ん?おはよ」
「・・・それ今言った」
「うん。昨日はありがとう」
「別に」
「今日は、ちゃんと教科書持ってきたよ」
「そう」


一体この子は何が言いたいのだろうか。