「告白すればって簡単に言うけどさ・・・」


光平の言葉の語尾がだんだんと小さくなっていく。
彼が今、何を考えているかなんて俺には手に取るように分かった。
確かに俺は告白すれば、と簡単に言った。
相手に自分の気持ちを伝えてもし、拒絶されてしまった時のことを考えると怖くて仕方ないと思う。
好きな相手に何も伝えずにただ見ているだけ、なんて日々を過ごしていたら今は、確かに良いかもしれない。でも、いつか告白しないで相手に違う誰かが隣にいるような姿を見てしまったらきっと後悔すると思うんだ。


「自分の気持ちはしっかりと伝えて方が良いと俺は思うよ」
「真司・・・・よし!俺は決めた!」


光平は、グッと握り拳を作ってそのまま腕を空に向かって伸ばした。
まっすぐ拳を見上げる光平の目はキラキラと輝いている。


「俺は、告白するぞ!」
「あぁ・・・振られたら慰めてやるよ」
「おい・・・振られたらとか言うなよ」


一気に脱力して見せた光平に俺は笑った。
光平は、良い奴だ。
何年も一緒にいる俺が言うんだ。
人とのコミュニケーションが苦手で、自分の気持ちを相手に伝えることも苦手なこんな俺にいつもつきあってくれて、本音で語ってくれる友だちとして本当にありがたいと思う。
光平の告白が上手くいくと良いな。
彼の横顔を見ながら俺は、心からそう願った。