「レイ、聞いてるのか?」
「うーん」
普段の私なら一番に大騒ぎしてペラペラと話すのに・・・
とても話す気にもなれない・・・
父がパチッとテレビをつけたっ。
ちょうど夜のニュースでヨンの記者会見の模様をやっている。
「ほら、レイ、ソン・ヨンだぞ。かっこいいなぁ~~」
(実物はもっとカッコいいし・・・)
(ブラウン管に映るヨンはとても遠くに感じる・・・いい男に映ってるじゃんっ。)
「スーツできまってるねっ」 私は言った
「韓国スターはスーツが似合うなぁ」
・・・(この人が私のTシャツ着てたのか・・・)・・・
はぁっ~~~~ 試しに聞いてみる・・・
「ねえ、私がさぁ、この人恋人ですって連れてきたらどうする??」
父と母に聞いてみた・・・・・・・・・・・・・・・・
大、大、大爆笑っ!!!
「ギャッハッハッハ~~~~~!!!」
そんなに笑わなくても・・・・
あー、何か悲しくなってきた
・・・自然と涙が流れて・・・
「レイ、泣いてるぞっ、どうした???」
(ぎょっ・・・)
人前でボロボロ泣くなんて・・・私の辞書にはないこと・・・
「んっ、なんでもないよ。会社でちょっとね・・・もう寝るね・・・お休み」
・・・・明日は行かないよ・・・・世間の目はこうだし・・・
私は行かないと心に決めた・・・
うん、世間の目はあんなだし・・・
まじに住む世界が違いすぎる・・・
あのキスは・・・事故!事故!事故・・・
絶対・・・忘れる!!・・・(忘れられないけど・・・)
よしっ!! 掃除しよう!!
私はヨンのぬくもり、香りが残っている部屋からバスルーム、リビング・・・
とにかく家じゅう夢中になって掃除した・・・
父も母も夜中じゅう、なにかに取りつかれたように掃除する私を不思議そうに見ている。
そんなことはおかまいなしっ!!
忘れるんだ・・・
忘れるんだ・・・
~翌朝~
すっきりしたと思いこみ、会社に出勤。
・・・しまったっ・・・
「ばっかも____んっ!!無断欠勤とは何事だっ!!」
・・・(やってしまった・・・昨日はそれどこじゃなかったっつうの・・・)
上司のカミナリはしばらく続いた・・・
(上の空の私・・・もう勝手にして・・・)
お説教のあと給湯室へ行くと、OL達はヨンのうわさをしていた・・・
はぁ・・・・他行こっ・・・社内ではいたるところでヨンの話題は絶えない・・・
・・・屋上・・・ここなら誰もいない・・・
・・・「私・・・ヨンの事・・・忘れたからね_____っ!!」
屋上から大声で空の雲に向かって叫ぶ私っ・・・!!
・・・さて、今日も残業決定っ!! また・・・上司からの命令・・・
今日も・・・最悪・・・
皆帰って行く中・・・一人で残業・・・
・・・孤独だ・・・
・・・まぁ、無断欠勤のバツだし・・・しょうがないっ・・・
・・・時計を見る私・・・時間はもうすぐ19時・・・
ヨンとの約束の時間・・・・・・知らないっ・・・
でも・・・チラチラ時間ばかり気になる私・・・
・・・もう、いいやっ!帰っちゃおぅっ!
・・・今日も田村屋ラーメン行っちゃうもんねっ。
残業も中途半端で終わらせ・・・(ダメOLだね)
田村屋ラーメンへ・・・
「ラーメンに餃子にライス・・・ビールも頼んじゃえっ」
半ばやけ食い・・・
~ホテルのロビー~
19時・・・
僕はレイを待っている・・・
レイは来るかな・・・
きっと来る!
昨日レイと別れた後も・・・
気がつくと彼女の事を考えている・・・
異国の地で出逢った彼女を・・・
僕はいつの間にかこんなに愛おしく思っている・・・
彼女にキスしたのは「好きになっていたから」
僕は自分に気持ちに気づいた・・・
僕は嘘のつけない性格・・・それは長所でもあり、俳優をやっている僕には短所にもなる・・・
でも・・・この気持ちにウソはつきたくないっ。
レイは僕の気持ち・・・
受け止めてくれるだろうか・・・
日本に滞在するのは後1週間・・・
その間できるだけレイと過ごしたい・・・
レイ・・・
早く君に逢いたい・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
待っても・・・
待っても・・・
レイは来なかった・・・
~ラーメン屋~
相変わらず私はやけ食い中・・・
アルコールも入り・・・
だんだんと気分もハイテンションになってきた。
・・・時間は20時を回っている・・・
お腹も満腹になって・・・
そろそろ帰ろうかな・・・
そこへ・・・
「トントンッ!!!」
私の肩をたたく人がっ・・・
「な~~にぃっ?」
振り向くとっ・・・
・・・・ヨンが立っていた・・・
・・・げっ!?
・・・なんで~~~??目の錯覚っ!?
もう幻覚が見えるほど酔ってんだ・・・私・・・
もう一度振り返る・・・
・・・やっぱり、ヨンだっ・・・
ヨンは自分の翻訳機で、「何してんの??」
私はびっくりしてっ・・・
「・・・ラーメン食べてんの・・・」
・・・ほんとにコイツには驚かされてばっかりっ!!
・・・もう逢わないと決めたのに・・・
ちょっと怒った様子のヨンは私の腕を引っ張り・・・
自分が昨日カツアゲされてた路地裏へと私をグイグイと・・・
やばいっ・・・私・・・カツアゲされちゃうっ・・・