「……お父さんにさ、私のどこを好きになったのか聞かれたとき、答えてたじゃん」
あなたと彼女はバックミラーで視線を合わせながら、会話を続けます。
「うん。そりゃ答えないわけにいかないだろ」
「自分で何て言ったか覚えてる?」
「『元気で明るくて、優しい素敵な人だったので』」
「……それさ、嘘でしょ」
低い声で彼女がそう尋ねると、あなたは少し笑って、「半分ね」と答えます。
ちょうど交差点の信号で停まったので、彼女はバックミラー越しの視線を、直接あなたへ向けました。
「半分って何!」
「嘘ってわけじゃない。菜摘は元気で明るくて優しいだろ。……でもまぁ、結婚しようと思った理由ではないな」
「……それって何?なんで私と結婚しようと思ったの?」
彼女はもう長くあなたの恋人でありながら、たまにこうしてあなたからの言葉を求めます。不安なのでしょう。面倒くさがりだったあなたがそういうことを可愛らしいと思えるのは、相手が彼女だからです。
結婚の決め手をずっとはぐらかしてきたあなたですが、もうここが潮時のようです。
「言ったら菜摘怒りそう」
「え!何!怒らないから言ってよ!」
「……“一緒にいて楽”だから」
青信号になり、あなたは車を発進させました。
あなたと彼女はバックミラーで視線を合わせながら、会話を続けます。
「うん。そりゃ答えないわけにいかないだろ」
「自分で何て言ったか覚えてる?」
「『元気で明るくて、優しい素敵な人だったので』」
「……それさ、嘘でしょ」
低い声で彼女がそう尋ねると、あなたは少し笑って、「半分ね」と答えます。
ちょうど交差点の信号で停まったので、彼女はバックミラー越しの視線を、直接あなたへ向けました。
「半分って何!」
「嘘ってわけじゃない。菜摘は元気で明るくて優しいだろ。……でもまぁ、結婚しようと思った理由ではないな」
「……それって何?なんで私と結婚しようと思ったの?」
彼女はもう長くあなたの恋人でありながら、たまにこうしてあなたからの言葉を求めます。不安なのでしょう。面倒くさがりだったあなたがそういうことを可愛らしいと思えるのは、相手が彼女だからです。
結婚の決め手をずっとはぐらかしてきたあなたですが、もうここが潮時のようです。
「言ったら菜摘怒りそう」
「え!何!怒らないから言ってよ!」
「……“一緒にいて楽”だから」
青信号になり、あなたは車を発進させました。