「それに……碓氷さんには悪いんですけど、ちょっとワクワクしてます。警察を近くでか見るの初めてなんです」
「……そうですね、俺も初めてです」
あなたは決してワクワクなどしていませんでしたが、嘘をつけるほどには余裕を取り戻していました。
この辺りは本当に静かで、あれから車は一台も通りません。彼女は沈黙の間も、何か他のことを考えて、うっすらと笑顔を浮かべていました。自己完結しているように見えたので、あなたは放っておくことにし、また携帯電話に目を向けました。
梶村さんの免許証がアルバムに保存されていたので、それを意味もなく開いて確認し、すぐに閉じます。すると、あなたは何か大切なことを思い出したようで、彼女を見ました。
「藍川さんも免許証か何か見せてもらえますか」
「あ、はい。免許証ですね。私のでいいんですか?」
「ええ。一応、後日病院に行って問題があった場合とかに連絡取れるようにしておきましょう」
「そうですね」
彼女はすんなり、財布の中に入っていた免許証をあなたに手渡しました。免許証の彼女はごく普通の格好をしていたので、あなたは少し安心したのでしょう。
名前には『藍川 菜摘』と書かれています。
「読み方は“なつみさん”で良いんですよね」
「はい」
「……ああ、今日はこの住所へ帰ればいいですか」
「あ、そうです。すみません。……電話番号言います?」
あなたは「お願いします」と言ってペンを走らせる準備をしたのですが、それよりもその番号に今電話をかけてしまえばいいのだと気付き、その用意に切り替えました。
「……そうですね、俺も初めてです」
あなたは決してワクワクなどしていませんでしたが、嘘をつけるほどには余裕を取り戻していました。
この辺りは本当に静かで、あれから車は一台も通りません。彼女は沈黙の間も、何か他のことを考えて、うっすらと笑顔を浮かべていました。自己完結しているように見えたので、あなたは放っておくことにし、また携帯電話に目を向けました。
梶村さんの免許証がアルバムに保存されていたので、それを意味もなく開いて確認し、すぐに閉じます。すると、あなたは何か大切なことを思い出したようで、彼女を見ました。
「藍川さんも免許証か何か見せてもらえますか」
「あ、はい。免許証ですね。私のでいいんですか?」
「ええ。一応、後日病院に行って問題があった場合とかに連絡取れるようにしておきましょう」
「そうですね」
彼女はすんなり、財布の中に入っていた免許証をあなたに手渡しました。免許証の彼女はごく普通の格好をしていたので、あなたは少し安心したのでしょう。
名前には『藍川 菜摘』と書かれています。
「読み方は“なつみさん”で良いんですよね」
「はい」
「……ああ、今日はこの住所へ帰ればいいですか」
「あ、そうです。すみません。……電話番号言います?」
あなたは「お願いします」と言ってペンを走らせる準備をしたのですが、それよりもその番号に今電話をかけてしまえばいいのだと気付き、その用意に切り替えました。