「また、会えませんか」
あなたはついにそう切り出しました。
気づいていないでしょうけれど、大丈夫です、彼女も同じ気持ちですから。あなたにまた会いたい、これきりにしたくない、今日一日、ずっとそうでした。
安心しました。もしかしたら、あなたは女性を愛せない男なのではないかと心配していました。
見た目も、地位も、そして乗っている車も、申し分ありません。性格などというものは、一度のデートでは測りきれませんから、問題ないですし、あなたなら、相手を口説いてホテルに連れ込むくらい、朝飯前でしょう。
ですがあなたはいつも、その朝飯前の出来事にこぎ着く前に、もっと言えば、相手の女性を車に乗せる直前から、もう、その気はなくなっているのです。
あなたと上手くいかない女性たちには決して悪気はありません。文字に起こせば完璧な肩書きのあなたを相手に取り繕って、ストレスを抱えずに過ごせる女性がいると思いますか。
ですから、彼女はとても奇特な方だったのです。
あなたと彼女の出会いは、まだ、数時間前の出来事でした。