フッといたずらっぽく笑えば瑠衣は苦笑いをした。


「あの」「ところで」


私と瑠衣の声が重なる。


「どうぞ」


瑠衣は私に話すように促した。


「何故あなたは笹木という偽名を使っているのかしら?一ノ瀬財閥を構えない必要はあるの?貴方が跡取りなのでしょう?」
「それは多分、総輝が関わってるからだと思います。俺とあの人では住む世界も同じだ、距離が近すぎる為だと。」
「そう。貴方と彼はどういう関係なの?」
「分からないんだ。本当の兄弟かもしれないし、俺が養子なのかもしれない」


彼の表情を見るに後者で間違いなさそうだな、とため息をひとつ零した。