その一言で入ってきたのは見覚えのある顔。


「瑠衣…」
「彼は一ノ瀬財閥の御曹司だ」
「は?」


瑠衣を見ながら声を失いかける。昨日からの情報が濃すぎるくらい脳を圧力で支配する。


「本名は一ノ瀬瑠衣」
「Flower」


ボスは私の瑠衣に向けていた顔を自分に向けるように頰に触れた。


「一ノ瀬瑠衣を守れ」
「はい」


それは決意の強い目だった。