ふるふると頭を横に振って教室を後にする。

歩く廊下。
道路。

ブーブーとなるケータイは感傷的な自分から抜け出させた。
ハッとして慌てた様子でケータイを取り出す。
後ろで誰かが笑ったのが分かった。


「…はい」
「柚花」


低く落ち着いたその声に私は目を見開く。
隣に現れた張本人は先程後ろにいた人物だった。


「何の用?」
「ハッ、いつも冷たいね」


相手は通話中のケータイをそっと切った。
自動的に私の通話も切れる。