「え?」
「お前、誰の名前言ってるか分かってんの?」


そう言う陸の目は少し動揺している。
誰のって…自分のだけど。
あれ、この感じは、もしかして。


「えっと」


陸にも言ってなかった感じ?
そうだよね…
陸の手をそっと離し、徐々に距離をとる。


「ああ〜、何の事?」


それを最後にバタバタとその場を後にした。
歩いて、歩いて、ひたすら歩く。
私の目の前に帰るべき場所が見えた時だった。