でも、そんなこと出来るわけない。そこまでやりたくない。

気づいたら、私はそっと彼の顔に近づいていた。

せめて、今キスしたいな、そしたらもうこの先、誰とも出来なくてもいい。

そう思って、唇を近づけたけれど、やっぱり出来なかった。

意気地無しな私。でもやっぱり寝チューは犯罪だよね。

その代わりに、彼の横顔に一瞬だけ頬ずりしてしまった。

柔らくて、女の子の私よりもスベスベな彼の頬だった。

いつのまにか、スクリーンには、エンドロールが映し出されていた。

館内の電気がつき、明るくなると彼がようやく重い瞼を開けたようだ。