「あっ、つばさちゃん」



「ひ、日向ちゃん・・・」




帰り道 前から歩いてくる美少女に釘付けになり、じっと見つめていると その美少女が、つばさちゃんだということに気づいた。




「こんな所で何してるの?確かつばさちゃんの家って反対方向だよね?」



「あっ、うん。・・・それは・・・・・・その・・・」



「ちょっとそこのベンチにでも座ろっか」




私はコクンと頷いたつばさちゃんの腕を引っ張って近くにあったベンチに座らせた。




「なんか飲み物買ってくるね。」


「あ、ありがとう」




結構落ち込んでるみたいだし、辛い話になりそうだから飲み物は必須だよね。




「ほい」


「ありがとう」


「いーえ」




つばさちゃんはゆっくりとオレンジジュースの蓋を開ける。



「日向ちゃん」



「ん?」



「今の私は何色に見える?」



「えっ?」



「やっぱり暗い寒色系かな」



「・・・ううん、そんなことないよ。」



「そうかな。私、日向ちゃんみたいな色になりたい。」



「私ってどんな色?」



「うーん。オレンジ?かな」



「そんな良い色かな」



「うん。名前の通りの色だよ」





今まで自分の色なんて考えたこともなかったけど、今、きっと私は黒色のような暗い色をしていると思った。




「どれぐらいの月日が流れたら私は元の色を取り戻すんだろう」



「・・・」



「あーあ、もう私ってば人に迷惑かけてばっかだよね。

こんなこと急に言われても答えれないよね。

・・・ごめんね。日向ちゃん」



そう言って立ち上がろうとした瞬間、
私は日向ちゃんに思い切ってこんなことを言ってみた。





「正直言って今のつばさちゃんは黒色だよ。
なんだったら、黒超えて漆黒だよ。

それくらいどよーんとしてる。」



「・・・っ」



「それに対して、いつものつばさちゃんは
オレンジのような赤のような比較的明るい太陽みたいな色をしてるよ。


私は生まれてきたその時から今までずっと
黒色を見にまといながら生きてきた。」