糸「もしもし。」

南那「いとぉー…」

糸「合コンならお断り。」

南那「まだ何も言ってないじゃない!」

糸「南那の甘えた声は合コンの誘いで決まりなの。」

南那「んもお、つれないなあ。」

糸「悪かったね。」

南那「たまには外出なさいよー?」

糸「週に2回バイトに出かけてるよ。」

南那「あ、そ、び、に!」

糸「お金が無いんだもん。」

南那「なんの為にバイトしてるのよ。」



中学からの友人、三浦 南那(みうら なな) にそう言われ、少し黙る。

私がバイトをしている理由はひとつ


初恋の幼なじみに会うこと

毎日一緒にいた彼にもう一度逢いたい
ただその一心でお金を貯めてる。


会える保証なんてどこにもないし
連絡だって小学校以来取ってない

取ってないっていうか、取れなくなった。


いきなり連絡が途切れたんだもん。
あの時はかなり動転して、彼に何かあったのかとママに泣き叫んだ。
ママに言ったってダメな事は分かってた。



南那「とにかく、ちゃんと外に出て体動かさなきゃ、かたくなっちゃうよ!」

糸「うん。分かってる。有難う。」


南那との電話を切って、
約束もしたし、服を着替えてそとにあしをだした。