俺と朱里は家が隣同士で、小さい頃からずっと一緒だった。
朱里の横で、ずっと一緒に過ごしてきた。

あいつに初めての彼氏ができた時、1週間もたなかった事も。男を取っかえ引っ変えし続けている事も、両思いになると気持ち悪いと泣きながら言ってきた事も。

俺は朱里を1番知っている。1番近くで見てきたから。でも、だからこそ、この気持ちを知られてはいけない。
一生、朱里のそばにいるために。___________


「おーい駿太。お前大丈夫かぁー?寝不足か?」

「佐々木。なあ、なんで朱里は片岡なんだ?」

本当に不思議だ。朱里はあいつのどこが良いのか。
なんだか嫌な予感を感じつつ、まあいつもと同じように片岡が振り向いた瞬間気持ち悪くなるんだろうな。なんて思う。

「まあ確かに陰キャだしマスクマンだしな!ってかさー……早くお前告れば良いのにー。」

俺だって告りたい。でも嫌われるのは嫌だ。

オレンジ色に染まる教室。窓から入ってくる風が心地いい。

「ねえ、幼なじみ君。朱里ちゃん取られちゃうんじゃない?」

聞きなれた声に振り向くと、文学少女が立っていた。

「七海ちゃーん。芹達は??」

「フードコートへ先に行ったわ。私もこれから行く。
……ねえ、幼なじみ君。人はね、ミステリアスな人に惹かれるの。片岡くんのどこに惹かれたかなんて、愚問ね。」

じゃあまた後で。と文学少女は去った。

「くぅー!七海ちゃんこそミステリアスぅ!!おい駿太、七海ちゃんの噂知ってるか??担任とデキてるって話し!」

朱里が片岡に取られるかもしれないという予感がいっそう高まり、佐々木の話なんて上の空だった。

俺はどうしたら良いんだよ。________



片岡くんとのLIMEを根気強く続けている。(いつも私からだけど……)
最近知ったこと。片岡くんが私と同じ漫画が好きって事。
最近気づいたこと。今までは攻略って気分で男子とLIMEしてたけど、単純に片岡くんのことを知りたいと思ってLIMEしてる事。___________


佐賀さんとのLIMEが続いている。
最初はなんて送ろうか迷いすぎてたけど、漫画が好きなことを知って、テンションが上がってしまった。
こんなコミュ障の俺とLIMEしてくれるって、もしかしたら罰ゲームなのかもしれないなんて考えていたけど……

「「もっと知りたい」」