「まったくもうっ。当の本人はアメリカ出張でいないし。なんでこのタイミングであんな噂が流れるんだか。晴香もうじうじ悩むくらいなら、電話でもメールでもして、本人に訊いたらいいじゃない。って言っても、もし事実だったらどうしようってなるか。怖くて訊けないか」

ぷりぷり怒りながら早口で捲し立てる小百合を呆然と見つめる。

まさにその通りの胸の内と状態を代弁されて、ぐうの音も出ない。

コクコクと頷くのが精一杯だ。

「これだから社内恋愛はメンドーなのよ」