それから、ちょくちょく駅で待ち伏せされることもあったとか


美幸と隆也の最寄り駅は、この近辺でもかなり大きくて、利用客も多い
乗り換えも便利
大きなモールもあるから、と二人してその駅に決めていたっけ


一人暮らしをするときに、私は同棲するのかと思ったけどしなかった
隆也はしたかったらしいけど、美幸が「自由がなくなる!」と近くに住むことを条件に隆也が折れた


結局、偶然を装って待ち伏せされたとしても、あり得ない駅ではないから隆也は何も言えなくて無視していたらしい
美幸が見たときも、勝手に付いてきてたとか………


美幸が見てないだけで、何度かあるんだと思う


「ゆ、優?」


恐る恐る私の名前を呼ぶ隆也
私の無言が怖くなった?

ちゃんと、私にだけでも言ってくれてたら
美幸にちゃんと説明してあげれたのに…………


「隆也」

「ゆ、優!頼む!美幸と話がしたい!」


私が何かを言う前に隆也が手を合わせて頼んできた
これが、先手必勝ってやつ?
私の親友でもある、隆也にとっては私の今の心理状況は嫌でもわかってるのだろう

余計な事を言わさないためか………
私も二人がまだ、恋人同士ってだけなら隆也の行為に"許さない"、と暫く美幸をあずかったと思う

でも、今は違う
夫婦になるんだ
恋人同士じゃない、夫婦になって隆也は家族になる美幸を守らないといけない
美幸だってそうだ