「おつかれー。じゃあ、なっちゃん帰ろうか」


「うん。おつかれ」



ほかの部活仲間に手をヒラヒラと振りながら、あたしの横に置いてあるバッグを肩にかける。



「なっちゃん、LINE教えてよ」


「あ、うん」



ずっとずっと知りたかった。
ずっとずっと当たり前に連絡のとれる関係になりたかった。

どうして、まだこういったツールを使わない頃にここを離れなきゃならなかったんだろうって親を恨んだりもした。



「あ、これだね。なつみってやつ」



あたしが表示させたQRコードを読み取った柊くんのスマホにあたしのLINEが表示されたようでふわっと微笑む。



「うん」


「今、スタンプ送ったよ」



柊くんの言葉にLINEのトーク一覧をみると、しゅーという名前のスレッドが新しくできていた。



「あ、もしかしてアイコンってキューちゃん?」


「そう、よく覚えててくれたね」



柊くんのアイコンに表示された犬には見覚えがあった。
あの頃はもっともっと小さかったけれど。