「うん、やっぱりカッコイイ」



笑顔でキャッチボールをしている姿を、スマホのカメラに収める。



「そういえば.......」



スマホの写真フォルダをスクロールすると、出てくる小学生のときの匠と柊くん。
ふたりとも少し大きめな白の練習着をきて、キャッチボールをしている姿。

スマホを買ったときに、家にある昔から大切なその写真をスマホで撮った。



「なにそれ、超懐かしいじゃん!」


「わっ!」




いつの間にか、すぐ近くにあった柊くんの顔にスマホを落としてしまう。



「ごめん、ごめん。ビックリした?」


「う、うん。急だったから」



それだけじゃない。
柊くんだからだ。



「にしても、超懐かしいの持ってんね。俺にもちょーだい」



柊くんがニコッと笑って、スマホの画面を指さす。



「あ、あたし柊くんの知らなくて」


「そうだよね。あの頃スマホなんて持っていないもんね」


「うん」



あの頃はそんなツールがなくても、約束なんてしていなくても。
簡単に会えた。
今だって、あの頃と住んでいる距離は変わらないのに。