この人、あたしの幼なじみなんだよーなんて、野球してるクラスメイトに自慢してみたりして。

いつか、この人があたしの彼氏だと自慢できる日がくるのを夢見ていた。



「気がつけば、匠のこと見てる?」


「……こころちゃん」


「ん?」


「わかんない……」



本当の気持ちがどこにあるのか。
どこを向いているのかなんて、自分でもわからない。



「わからないなら、分かるまで待ってればいいんだよ」


「……でも」



もしも、匠のことが好きだって気がついたときに手遅れだったら?
大人気の匠だよ?
匠の好みの子が現れて、心変わりだってしちゃうかもしれない。



「大丈夫。あいつは、どんな女の子が現れたって、夏実のことしか見えてなかったから」


「……うん」



まだ、匠のことを好きだなんてハッキリもしてないくせに。
他の子を見て欲しくないんて、こんなのただのワガママだってわかってる。

でも、ワガママだってなんだっていい。
他の人のことを見て欲しくないと思う気持ちは嘘じゃないから。