「聞いてない?おばさんに頼まれたんだよ。お前がここに一人で帰ってくるから一緒に住んでやってくれって」


「はーーーーー!?」


「うっせ、耳に響く」



あたしの叫び声に耳を塞ぐ、匠。


叫びたくもなるって。
だいたいそんなこと聞いてもいないし。
途中であっさり認めたなとは思ってたけど、こういうことだったの!?



「ちょっと、お母さん!」



すぐさまお母さんに抗議の電話をかける。



『あら、夏実(なつみ)?もうついた?』


「もうついたじゃない!なんで匠がここにいるの!?」


『言ってなかったっけ?あんた一人で住ませるのは不安だから匠ちゃんにお願いしたって』


「一言も言ってないし、こんなの認めない!」


『あら、残念。それなら、せっかく入学するはずだったけど辞めて戻ってきましょうか』


「……うっ」



お母さんは、何が一番あたしが言葉を返せなくなるかわかってる。

ここの高校に入ることが、どれだけあたしが楽しみにしていたことだったかわかっているんだから。