「むかしは、たしかに夏実のことを溺愛してたわね。詩音のことは全然見てなかったと思う」



おばさんの眉が下がる。



「でもね、さすがに長年詩音とすごしてきて、今更夏実じゃなかったからって、大切じゃなくなるわけないでしょ?」



詩音のことを抱きしめて「ごめん」っと謝ったおばさんの目からはまた涙をが出ていた。



「あたし、もうお母さんに要らないって言われるのかと思って.......」


「詩音のことも、夏実のことも。ふたりとも大事なあたしの子供なのよ」



夏実の車椅子の横へと、詩音を連れていき、ふたりともまとめて抱きしめる。



「おいおい、俺を仲間はずれにしないでくれよ」



そこにおじさんも加わって、4人で涙をながして笑いあっている。



「よかったな.......これで、みんな幸せになれんじゃん」



ポンっと俺の肩を柊が叩く。



「あぁ、よかった」


「匠も単なる同居人じゃくなってよかったな」



横っ腹を腕で小突いてくる。



「柊こそ、ずっと想ってたんだろ?夏実ならって、詩音に告白するくらい」


「はは、なにやってんだろね。ちゃんとなっちゃんのこと大事にするよ」