「お母さん、それはあたしもいてもいいの?」



夏実がおばさんの背中に手を回す。



「何言ってるの?当たり前じゃない。夏実は、誰がなんと言おうとあたしの娘よ?」


「.......お母さん」



夏実とお母さんのやり取りを見ながら、不安な顔をしている詩音の手をぎゅっと握る。



「匠くん、詩音と一緒に暮らしてくれてありがとう」



夏実から離れて、俺と詩音へと向き直る。



「いえ、詩音と過ごせて嬉しかったです」



「急にこっちの学校いって一人暮らしするなんて言い出すから.......反対しでも全然きかないし」



はぁっとため息をついて、夏実の頬へと触れる。



「元気そうで、よかった。家から出てから、毎日心配で気が気じゃなかったわ.......」


「お母さん、あたしのこと嫌いじゃないの?」



詩音の瞳が不安で揺れている。



「何言ってるの?あたしは、いつもあなたに過保護なくらいだったはずたけど?」


「だって、あたし.......夏実じゃないよ?」



詩音の目から涙が溢れ出す。