──ピーンポーン



もう一度なるチャイム。
これは、もうこの家のドアの前にいるということだ。



「お、お母さんだ!」



詩音が、ドアを開けにいく。

大丈夫かよと思いながら、俺はそんな詩音を見守る。



「お母さん!」



ドアを開けて、でた詩音に「ちゃんと匠くんに迷惑かけてないで生活してた?」と、母親の顔をみせたおばさん。

きっと、長年一緒に親子として過ごしてきたから見せられる顔なのだろう。



「.......お母さん」



詩音より少し遅れて、車椅子を柊に押してもらってやって来た夏実。



「久しぶりね.......」



車椅子の夏実の目線に合わせて、しゃがみこんで、夏実のことを抱きしめる。



「お母さん.......」


「ごめんね.......受け入れられなくて、一緒にいてあげれなくて」


「お母さん、あたしお母さんのこと恨んだことないよ」


「.......夏実」



夏実の言葉におばさんがボロボロと涙を流す。



「ここで、あたしとお父さんも一緒に暮らしてもいいかしら.......」



夏実のことを抱きしめながら、そう口にした。