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「夏実!」



こころちゃんに電話すると、すぐにホテルの前まで駆けつけてくれた。



「大丈夫?」



電話でだいたいの事情を話したあたしの背中をさすってくれる。



「うん.......あっ」



こころちゃんをちゃんと見ようと俯いていた顔をあげたと同時にホテルの中に匠の姿が見える。



「え?あ、匠.......」



あたしの様子に視線を追って、匠を見つけたここちゃん。



「あたし.......もう、嫌だよ」


「夏実.......」


「さっき、あの子が来る前までは匠はあたししか見てなかったはずなのに。あの子が来たら、もうあたしはそこにいないのかなって.......」



いかに自分が匠にとって全然特別ではないかがわかる。
あの時は、柊くんの様子がおしかったし、仕方ないことだと分かっていてもどうしても割り切れない。



「あれ、こころ?」



ホテルのエントランスのドアがあいて、匠の声がきこえる。



「.......匠、あんたせっかく応援に来てくれた夏実を放ってどこいってたわけ?」



キリッとした瞳で匠のことを見つめる。