「柊くん!」



視線を下にずらすと、上をみている柊くんの姿。



「こんな遅くになにやってるの?」


「ちょっと考え事をね」


「ふーん。よいしょっと」



柊くんも軽々と登ってきて、あたしの隣に腰をかける。



「ねぇ、柊くん」


「ん?」


「あたしが転校してから、匠は好きな子に出会ったの?」


「え?」



突然こんな質問をしたあたしをキョトンとみる。



「ご、ごめん。突然困るよね」


「いや、別にいいんだけど。なっちゃん、俺、なっちゃんに振られた身なんだけどなー」



ちぇーと口をとんがらせて、足をブラブラさせる。



「あ!あたし、無神経だね!ごめん!」



慌てて柊くんに頭を下げる。

自分のことで精一杯で、柊くんがあたしに告白してくれたことが頭から抜け落ちていた。



「あはは。冗談だよ。大丈夫、なっちゃんの気持ちは昔からわかってるから」



ポンポンっとあたしの頭を撫でる。



「.......昔?」



昔からと柊くんは言うけれど、昔のあたしは柊くんに好き好きとラブコールを送っていたはずだ。