「やめて!」
美嘉が何人かの女子に囲まれてた。

「あんたさー、うざい。麗のこと独り占めしてんじゃないわよ!」
「そうそう!馬鹿じゃないの?」
「あんたなんか、傷だらけになればいいんだよ!」
美嘉が蹴られてた。

「てめぇら、何やってんだよ!」
「麗…?」
そう言った美嘉の声は震えてた。
「最低だな。お前ら、生きる価値ねぇんじゃね?」
「ひどいー!麗好きなんだもん。」
「わけ分かんねーし。だからって、んなことしていいのかよ?次やったら殺す。」
女子は走って逃げて行った。

「美嘉…」
「怖かったよ…」
当たり前だ。美嘉は気強くないし、あんまりうるさい系でもない。怖いのは当たり前だった。
「ごめん…。」
「ううん」
「靴とか教科書なくなってたのも?」
「…うん」
「まじでごめん。」
「謝らないでよ…。」
「美嘉、別れよう。」
「何で?」
「俺と付き合っても、傷つくだけだ。もう、あんな目にあってほしくねぇ。」
「嫌だよ?」
「頼む…。他の奴と幸せになれ。」
「…」
「じゃあな。」
「ばい…ばい」
教室を出たら、美嘉の泣き声が聞こえた。俺まで、泣きそうだった。