「ねぇ、何とか言いなさいよ。もう、負けるのはこりごりだから、リーダー同士で付き合えば、いびられないって考えたの?」
「違う。」
「じゃあなんなの?」
それは。
ほんとに敵のリーダーと知らず、一目惚れしました、なんて言ったら……

あんたって、ほんとに馬鹿なの?頭だけじゃなくて、目まで悪いのね!あはははは!

って高笑いされるに決まってる!
だからといって見栄をはったら。
余計に危うい。

「結局は馬鹿にしたいんでしょ!」
「違う!本当に敵とか関係なくすごいって思ったんだ!あんなに綺麗なピアノ聴いたの、初めてだったから!純粋に、心から、すげえな、好きだなって思ったんだよ!悪いか!」
思ったより、大きい声が出た。

向こうも、圧倒されている。

しばらくすると、やれやれ、と、肩をおろした。

「あたしだと気づかなくてこくってきた訳ね。やっぱりバカ?」
「うぐっ」
「でも。」
1歩、また1歩。
だんだんと近づいてくる。

「そーゆーバカ真面目で素直なとこ。嫌いではない。」
つまり、どーゆー?

「こっちとしても、ピアノのコンクールに出てるなんて知られたら困るし。……契約してあげる。」
サッと手をさしのばしてきた。
「お互い、今日のことは、内緒にしよう。あんたは、あたしがピアノを弾いていたことを。あたしは、あんたが告ってきたことを。」
ゴクリ。
「毎日監視すること。もし、約束を破ったら。……絶対服従。」
監視って。

「なんか、普通に恋人的な?」
「バカ?」

いやいや、誰だってそう思うだろ。
「……まあ、そういうことに、なるかな。」

少し頬が赤らんでいる。

こうして、初カノをGETしたのであった。