電車に揺られ、駅を降りると私は1つ気づいてしまった。


学校への生き方が分からないということに。


スマホでマップを開いてみても地図読めないし正直迷子になる予感しかない。


もう、詰んだ。


そう確信した。


そのとき


「あれ、俺と同じ学校じゃん?どうしたの?」


知らない男の子に声をかけられた。


でも私は男の子の制服なんて知らないし同じ学校なんて確信もない。


『あ、えーっと…さよなら!』


人が怖くて逃げ出した。走り続けると目の先には公園があり、ベンチでひと休みした。


周りを見渡してもさっきの男の子は見当たらず、うまく巻いたようだ。


呼吸を整えてひと段落つくと、私は学校に行く気を失った。


「はぁ、最悪…学校に行くだけなのになんでこんなに怖いのかなぁ」


自分の情けなさに浸ると、ただただ落ち込むだけなのでギターを引くことにした。


背負っていたギターを取り出し何を引くか悩む。


「え、君ギター弾けるの?!かっこいい!」


声の方に目をやるとそこにはさっきの男の子がいた。


『なん…で?』


足が硬直して動けなかった。

怖くて逃げ出したいのに。


「なにか弾いてよ!俺聞きたい!」


特に悪い人ではなさそうだし、逆らうと何かされそうだし1曲披露することにした。

ここはまぁ誰でもわかるような流行りの曲にしよ。


ギターは正直ずっと弾いてるしうまいほうだと思う

だから弾きたくないなんて一切思わない。

そんなことを思いながら弾いていると、隣に座りだし歌い始めた。

私は変なやつにギターを弾いてあげたのか、


だから、は?って思ったのに、その歌声はあまりにも上手くて驚いた。

何なのこいつ

でもまだ聞きたくて、私はギターを弾く手を止めなかった。

気づけば最後まで弾いてしまっていた。


「めっちゃギター上手くない?!だから俺つい歌いたくなってさ、ごめんね!」


『あ、いえ…なんて言うか一言で表すと…その』


私も言いたいことがありすぎてうまく言葉に表せない。


「え、なになにー?」


『好き…です』