「眠たい」
明日の学校の宿題もせずに僕はそうつぶやいた。
僕みたいなこんな極普通の少年が物語の主人公になる可能性はとてつもなく低い。
…。だけど今夜僕は主人公になる。
そんなことも知らずに僕は今テレビの前に座り込んで番組を観ている。
「ちょっと洋、邪魔どいて、あたしみたい番組あるんだから。」
姉がぶっきらぼうにそう言った。
僕が言いかえそうとしたら今度は父さんがやってきて
「ちょっといいか。」
といってテレビのリモコンを手にとった。
僕はいやみげにため息をついてリビングからでていこうとした。
すると台所にいた母さんが声をかけてきた。
「洋、あんたちょっとは手伝いしなさいよ。それに、勉強はちゃんとしてるの?また…」
「うるさい!!!」僕は母さんが何か言い終わる前にそう叫んで二階の自分の部屋へと走っていった。
そしてドアをバタンとしめ鍵をかけベッドに潜り込んだ。
何なんだろう。
勉強も友達関係もこのごろあまり上手くいかなくて、僕はとてつもなくイライラしている。
もう現実にいたくない。
このまま眠ろう。
あっ歯磨きしてない。してから寝よう。そして僕がベッドから起き上がった瞬間に母さんの声が下からきこえた。