「下で待ってるから、10分で出てこい」

ツーツー

「え?もしもし?先生??」

は?下で待ってるって、何?
って言うか、なんで私が指図されてるの?
ひたすら文句を言っていると、再び電話が鳴った。

「もしもし!あのっ」

「文句言う暇があったら、早く用意しろ!あと8分!」

何が爽やか王子よ、イケメンが何よ!ただの腹黒なだけじゃない!
物にあたりながら、私は出かける準備をしていた。

って言うか、なんで私も準備してここにいるのよ。
目の前には、高級外車(ベンツ)の前でモデルのようにキメて立っている腹黒中元先生がいた。

「やれば出来るんだな」

「言ったのは、先生じゃないんですか?用がないなら帰りますよ」

中元先生は、部屋に戻ろうとした私の肩を掴み、待ってくれと慌てて引き止めた。

「悪かった。ちょっと付き合ってくれるか…」

ドキッ
懇願するような目で私に、お願いしてきた中元先生に、一瞬ときめいてしまった。
後で、ときめいた事を後悔したけれど…

「な、なんですか。今日は」

「悪い、その、買物に付き合ってほしいんだ」

「へ?か、買い物ぉ?」

抜けた声を出したのは言うまでもない。