「うー、久しぶりの夜勤で頭がぼーっとする」

朝早くに目が覚めた私は、は昨日の夏帆からの電話を思い出していた。

勝手に勤めた私が悪いんだろうけど…ちゃんと辞めなかった夏帆も悪いんだし…。


ダメだ。頭冷やそ。
まだ完全に目覚めていない頭をスッキリする為に、浴室に向かった。シャワーを浴びながら、考えていた。
夏帆が、まだ1ヶ月しか働いてなくて助かった。
これが前の職場だったら、終わってたな。

由香里は、少しの間って言ってたけど、いつまですればいいんだろう。
私、医療から離れたくて前の病院辞めたのに。
がっつり関わってるじゃない…
なんか、よけいもやもやしてしまったな。蛇口を閉めて、浴室から出た。

♪♪♪♪♪♪

私の部屋で、携帯電話が鳴っている音がしていた。私は慌ててバスタオルを体に巻いて部屋へ走った。

「もしもし?」

ディスプレイには知らない番号が表示されていた。

誰?こんな朝早くから…

「もしもし、俺だ」

一つ間が空いて、無愛想な声が聞こえた。

俺だ?
そんな奴知らない。

「誰ですか?俺さんなんて知り合いいませんが?」

「チッ…俺だ中元だ」

電話の向こうで舌打ちしたのが、はっきり聞こえた。
チッて、何よ。舌打ちしましたよね?
俺だ、で分かると思ってるのか…

しかも、なんで腹黒王子から電話なのよ。番号教えてないのに…

「…もしもし、聞いてるのか?」

どこまで偉そうなんだ?

「聞こえてますが?先生が何の用でしょう」

「今から出てこい」

「は?」